2025年3月28日

GX志向型住宅とは?メリット・デメリットから補助金まで徹底解説

トヨタウッドユーホームのGX志向型住宅「THE CRASTY SE」

GX志向型住宅とは

GX志向型住宅とは

GX志向型住宅は、エネルギー効率を最大限に高め、環境負荷を軽減することを目的とした住宅の新しい形です。再生可能エネルギーの利用や高断熱構造を採用し、快適で持続可能な暮らしを実現します。

GX志向型住宅の定義

GX志向型住宅とは、グリーントランスフォーメーション(GX)の考え方を取り入れた次世代型の住居であり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅を大きく上回る性能を有するものを指します。具体的には、断熱性能等級6以上を備え、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が35%以上、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上であることが求められます。これにより、住宅の省エネ性能を飛躍的に向上させ、環境負荷の低減と快適な居住環境の両立を実現します。

GX志向型住宅の背景と目的

GX志向型住宅は、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇といった環境問題に対応するために生まれました。日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進しています。この一環として、住宅分野でも省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの活用が求められています。GX志向型住宅は、高い断熱性能やエネルギー効率の良い設備を備え、環境負荷を低減しつつ、快適で持続可能な暮らしを提供することを目的としています。これにより、エネルギー消費の削減やCO₂排出量の削減が期待され、持続可能な社会の実現に寄与します。

GX志向型住宅の条件

GX志向型住宅の条件として、高い断熱性能、再生可能エネルギーの導入、そして環境に配慮した設計が挙げられます。これらは国や自治体が定める基準をクリアする必要があります。具体的には

  • ・断熱等性能等級「6以上」
  • ・再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
  • ・再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」
    ※寒冷地等の場合は75%以上、都市部狭小地等の場合は再生可能エネルギー未導入(ZEH Oriented)も可
  • ・高度エネルギーマネジメント(HEMS)を導入すること

これらの基準を満たすことで、GX志向型住宅として認定され、補助金の対象となります。
それぞれの基準について詳しく見ていきます。

断熱性能等級6以上

栃木県における住宅の省エネルギー基準(断熱基準)の地域区分マップ
[栃木県 省エネ基準における地域区分]

断熱等性能等級と基準値

栃木県で断熱等性能等級6はUA値0.46~0.28

栃木県は赤枠の範囲が対象。
住宅の断熱性能を評価する指標には、「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」の2つがあります。UA値は壁や屋根など建物の外部構造を通じた熱の移動量を示し、ηAC値は夏季に窓から侵入する日射熱の量を表します。
これらの指標は、外壁や窓の面積と性能を基に算出され、数値が小さいほど外気の影響を受けにくく、冷暖房のエネルギー消費を抑えやすい高断熱な住宅と評価されます。
GX志向型住宅では、断熱性能等級が6以上であることが求められます。
栃木県では、地域によって求められる基準値が異なるため、お住まいの地域に適した断熱性能を確認し、適切に導入しましょう。

再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を35%以上削減

太陽光などの再生可能エネルギーを除き、建物の省エネ性能向上によりエネルギー消費を削減することを指します。具体的には、高断熱・高気密設計、省エネ型設備(エアコン・給湯器・LED照明)、HEMS導入などの対策を講じます。基準となる住宅(一般的な住宅)の一次エネルギー消費量を100%とした場合、35%以上削減が求められます。

再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量を100%以上削減

建物が消費する一次エネルギー量よりも多くの再生可能エネルギーを生み出し、エネルギー収支をプラスにすることを目指します。具体的には、高断熱・高気密設計、省エネ設備の導入、HEMSによる最適制御で消費エネルギーを最小化し、太陽光発電や蓄電池、燃料電池を活用してエネルギーを創出します。これにより、電力の自給自足を超えて余剰エネルギーを売電でき、光熱費削減に貢献できます。

※ただし、※寒冷地等の場合は75%以上、都市部狭小地等の場合は再生可能エネルギー未導入(ZEH Oriented)も可

高度エネルギーマネジメント(HEMS)の導入

太陽光発電設備の発電量などを把握し、住宅内の冷暖房設備や給湯設備などを制御するシステムです。HEMSは、GX志向型住宅のエネルギー消費を効率的に管理するための重要な要素となります。HEMSの具体的な要件は「ECHONET Lite AIF仕様」に対応する「コントローラ」として、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品の設置が条件になります。
例えば、パナソニックの「AiSEG2」やSHARPの「COCORO ENERGY(ココロエナジー)JH-RV11/JH-RVB1」などが該当します。

ZEHや長期優良住宅との違い

対象世帯対象住宅補助額
すべての世帯GX志向型住宅160万円/戸
子育て世帯等長期優良住宅建替前住宅等の除却を行う場合100万円/戸
上記以外の場合80万円/戸
ZEH水準住宅建替前住宅等の除却を行う場合60万円/戸
上記以外の場合40万円/戸

GX志向型住宅に似たような住宅類型として、ZEHや長期優良住宅があります。

ZEH水準住宅

18歳未満の子供を有する子育て世帯、または夫婦どちらかが39歳以下の若者夫婦世帯が対象です。
補助金申請の条件は以下のとおりです。

  • ・強化外皮基準(断熱性能等級が5以上)
  • ・一次エネルギー消費量を20%以上削減

長期優良住宅

18歳未満の子供を有する子育て世帯、または夫婦どちらかが39歳以下の若者夫婦世帯が対象です。
補助金申請の条件は以下のとおりです。

  • ・耐震等級が1〜3以上
  • ・断熱等性能等級が5以上
  • ・一次エネルギー消費量等級が6以上 など

ZEH水準住宅は、高い省エネ性能を求められる点では長期優良住宅と同じ基準ですが、長期優良住宅はさらに高い耐久性を長期間維持できる住宅にすることを目的としています。
GX志向型住宅の160万円の補助金は魅力的ですが、性能向上や仕様強化にかかる費用を考えると、最初の予算を大きく超える可能性があります。
そのため、補助金の活用を検討する際は、まずハウスメーカーや工務店の営業担当者に相談することをおすすめします。

GX志向型住宅のメリット

GX志向型住宅には、光熱費の削減や環境への配慮、災害時の安全性向上など、多くのメリットがあります。また、健康的な室内環境を提供し、住む人々の生活の質を向上させます。

光熱費削減の可能性

GX志向型住宅は、高い断熱性能とエネルギー効率の良い設備を備えているため、光熱費の削減が期待できます。特に、太陽光発電システムを導入することで、再生可能エネルギーを自家消費でき、電力購入費用を削減することが可能です。さらに、高効率な給湯器や空調設備の導入により、エネルギー消費量を抑制し、月々の光熱費を軽減できます。これらの効果により、長期的な経済的メリットが得られるでしょう。

環境への配慮と健康的な暮らし

GX志向型住宅は、環境負荷の低減と住民の健康的な暮らしを両立させる設計が特徴です。高い断熱性能により、冷暖房効率が向上し、効率的に室温が保たれ、CO₂排出量の削減に寄与します。また、適切な換気システムの導入により、室内の空気質が改善され、アレルギーや呼吸器系の健康リスクを低減します。これにより、快適で健康的な生活環境が提供され、住民の生活の質が向上します。

将来的な資産価値の向上

GX志向型住宅は、省エネルギー性能や環境負荷の低減に優れた設計が施されており、今後の市場ニーズの高まりが予想されます。特に、政府の環境政策の強化やカーボンニュートラル推進の流れを受け、環境性能の高い住宅は評価額が上昇しやすくなります。また、エネルギーコストの削減や快適な住環境の提供といったメリットがあるため、将来的に売却する際にも高い需要が見込まれ、資産価値の維持・向上につながるでしょう。

GX志向型住宅のデメリット

初期コストの高さや太陽光発電設備の必要性、立地条件の制約などが挙げられます。これらのデメリットを理解し、長期的な視点で導入の可否を判断することが重要です。

初期コストの高さ

GX志向型住宅は、高性能な断熱材や再生可能エネルギー設備の導入が求められるため、初期コストが高くなる傾向があります。特に、太陽光パネルや蓄電システムの設置は多額の投資を必要とします。しかし、これらの設備により光熱費の削減が期待でき、長期的には経済的メリットが得られる可能性があります。また、最大160万円の補助金を活用することで、初期費用の負担を軽減することができます。

太陽光発電の必要性

GX志向型住宅では、再生可能エネルギーの利用が推奨されており、特に太陽光発電システムの導入が一般的です。しかし、太陽光パネルの設置には十分な日照条件や屋根のスペースが必要であり、立地条件によっては効果的な発電が難しい場合があります。また、設置費用やメンテナンスコストも考慮する必要があります。これらの点を踏まえ、専門家と相談しながら最適なエネルギーソリューションを選択することが重要です。

住宅の立地条件による制約

GX志向型住宅の性能は、立地条件に大きく影響されます。例えば、日当たりの悪い場所では太陽光発電の効率が低下し、十分なエネルギー供給が難しくなる可能性があります。また、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域などの特定の地域では、GX志向型住宅の対象とならない場合があります。これらの制約を理解し、適切な立地選びと設計を行うことが、GX志向型住宅の効果を最大限に引き出すために重要です。

GX志向型住宅の補助金制度と併用できる補助金とは?

GX志向型住宅を建設する際には、補助金制度を活用することで費用負担を軽減できます。国や自治体の提供する補助金を調査し、正確な手続きで申請することが必要です。

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性能に優れた住宅の新築やリフォームを支援するもので、経済産業省、国土交通省、環境省が連携して実施しています。GX志向型住宅に対し、1戸あたり160万円の補助金が支給されます。この補助金は、世帯を問わず、すべての世帯が対象となります。

補助金の申請方法

補助金の申請は、「注文住宅の新築工事」、「新築分譲住宅の販売」若しくは「賃貸住宅の新築工事」または「既存住宅のリフォーム工事」を行う事業者が行います。工事発注者や住宅購入者となる一般消費者は申請者にはなれません。申請の際には、以下の書類が必要になります。

  • ・事業者登録申請書
  • ・印鑑証明書
  • ・共同事業実施規約
  • ・工事請負契約書または不動産売買契約書の写し
  • ・建築基準法に基づく「確認済証」の写し
  • ・建築確認申請書
  • ・建築士が発行する出来高確認書
  • ・共同事業者の本人確認書類
  • ・本事業の対象であることを証明する住宅証明書等(BELS評価書など)

併用できる補助金とは

原則として、本事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできません。ただし、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。
蓄電池を設置する場合は、費用の3分の1以内で補助金「DRに対応したリソース導入拡大 + 支援事業(仮)」を併用可能です。
また、「住宅省エネ2025キャンペーン」の他の構成事業(先進的窓リノベ2025事業、給湯省エネ2025事業など)について、補助対象が重複しなければ併用が可能です。

補助金の対象外になる住宅の要件

以下の住宅は、原則として補助の対象外になりますので、注意してください。

  • ・「土砂災害特別警戒区域」に立地する住宅
  • ・「災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限る)」に立地する住宅
  • ・「市街化調整区域」かつ「土砂災害警戒区域または浸水想定区域(洪水浸水想定区域または高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る)」に該当する区域に立地する住宅

子育てグリーン住宅支援事業の公式ホームページなどで、詳細な情報や申請の手引き等をご確認ください。

GX志向型住宅の建築を検討する際のポイント

再生可能エネルギーの活用や省エネ性能の向上が求められる中で、多くの住宅メーカーがGXに対応した住まいを提供しています。ここでは、GX志向型住宅を建築する際のポイントを解説します。

GX対応の実績があるか

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やLCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)など、環境配慮型住宅の施工実績が豊富なメーカーを選びましょう。

使用する建材や設備の環境性能

高断熱・高気密の住宅設計が可能か、太陽光発電や蓄電池、地中熱利用などのエネルギーシステムに対応しているかを確認しましょう。

補助金や優遇制度に詳しいか

GX関連の補助金や税制優遇を活用することで、初期投資を抑えることが可能です。メーカーがそれらの制度に精通しているかもチェックすべきポイントです。

GX志向型住宅は、高い設計力・施工力が求められます。ZEHやHEAT20の基準を満たした住宅の施工実績が豊富な会社に相談することがおすすめです。また、アフターサービスや保証なども充実しているか確認しましょう。

初期費用とランニングコストのバランス

GX志向型住宅は、一般的な住宅に比べて初期費用が高くなる傾向があります。しかし、長期的に見るとランニングコストの低減や資産価値の向上につながるため、トータルコストで判断することが重要です。

初期費用の内訳

高性能な断熱材やトリプルガラス窓など、エネルギー効率の高い建材を使用するため、建築費用が割高になりがちです。
太陽光発電や蓄電池、HEMSなどの設備導入にもコストがかかります。ただし、国や自治体の補助金を活用することで、一定の負担軽減が可能です。

ランニングコストのメリット

高断熱・高気密設計により冷暖房コストが抑えられ、電気代の削減につながります。
太陽光発電や蓄電池を活用することで、電力の自給自足が可能になり、電気代の高騰リスクを低減できます。
長期的に見れば、設備投資の回収が可能なケースが多いです。
GX志向型住宅を建築する際は、単に環境配慮を考えるだけでなく、長期的なコストメリットも考慮しながら計画を進めることが大切です。

GX志向型住宅は、高性能な断熱材や設備を導入するため、初期費用が高くなる傾向があります。しかし、長期的に見ると、光熱費の削減効果が大きく、ランニングコストを抑えられます。初期費用とランニングコストのバランスを考慮し、資金計画を立てましょう。

GX志向型住宅に関する質問

GX志向型住宅は蓄電池は必須ですか?

蓄電池がなくても、省エネ性能の向上とエネルギー管理の最適化により、GX志向型住宅の実現は可能です。
ただし、太陽光発電の余剰電力を有効活用するため、太陽光+蓄電池の設置は推奨されています。
HEMSを効果的に活用することで、電力の無駄を削減し、GX志向型住宅の省エネ効果を最大化できます。

GX補助金はいつまで?

子育てグリーン住宅支援事業のGX志向型住宅に対する補助金は、予算上限に達するまで申請可能です。ただし、交付申請の予約は遅くとも2025年11月30日まで、交付申請は遅くとも2025年12月31日までに行う必要があります。

「THE CRASTY SE」なら「GX志向型住宅」に対応できます!

THE CRASTY SEの特長

「THE CRASTY SE」は、GX志向型住宅に求められる高い断熱性能とエネルギー効率を実現した次世代の住まいです。木質ツーバイフォー工法を採用し、断熱等性能等級6を超える高性能とコストパフォーマンスを両立。HEAT20 G1基準の断熱仕様に加え、太陽光発電やヒートポンプ給湯器などを活用し、環境負荷を抑えながら快適な暮らしを提供します。
GX志向型住宅をお考えの方は、ぜひ詳細をご覧ください!

参照元情報

地域区分新旧表(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf

住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設
https://www.mlit.go.jp/common/001585664.pdf

住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001855018.pdf

子育てグリーン住宅支援事業の概要
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001855013.pdf

子育てグリーン住宅支援事業【公式】
https://kosodate-green.mlit.go.jp/

子育てグリーン住宅支援事業の内容について(令和7年2月7日時点)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001861512.pdf

一般社団法人エコーネットコンソーシアム「コントローラ」の製品一覧
https://echonet.jp/product/aif/grid_name_base/controller/%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%a9/

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